珪藻土建材の医療効果に期待する
 

珪藻土壁材が久々のヒット商品となった。それはかつての繊維壁を思い出させるものがある。空前の大流行となった繊維壁が比較的短年月のうちに消滅したという栄枯盛衰の姿はまだ記憶に新しい。このため珪藻土壁を繊維壁の二の舞にさせてはならないというのが今や左官関連業界の合言葉となっている。

 

珪藻土壁材とは

珪藻土壁材は高い吸放湿性能とホルムアルデヒド・VOCなどのガス吸着性能とともに通気性・断熱性、さらには自然の温もりのある表面の風合いが評価されている。しかし、このような効果は必ずしも珪藻土に限ったものではなく、わが国の伝統的な土塗壁の効果に他ならない。木材の気孔と同じような組織をつくる材料なら皆同等に評価されるということになる。しかしせっかく“珪藻土”の名前で市場を開拓したのだから、これらの代表名として珪藻土壁と呼ぶのはよいのかもしれない。

 

珪藻土の医療効果

この珪藻土壁の土塗壁にシックハウス症候群の予防効果のみならず、治療効果もあるものと評価し大いに期待している。それは土塗壁のように吸放湿性能があると考えられるからである。

 

シックハウスの害とマイナスイオンの効果

アレルギー症および化学物質過敏症の害作用は、リンパ球の母体である肥満細胞が刺激されて放出されるヒスタミン等の化学伝達物質の作用と、この化学伝達物質やアレルゲンが白血球を刺激して発生する活性酸素の作用の2つに集約されるが、最近では活性酸素による害の方がむしろ大きいと見られている。活性酸素は外界からの侵入者(細菌、ウィルス、異物)を消滅させる働きをする善玉であるが、一方、余剰の活性酸素は細胞膜や核酸を破壊して酵素を活性化させ、臓器疾患を起こし、ガン、難病、成人病の原因になるなど、あらゆる病気のもとになるという悪玉なのである。これは言いかえればプラスイオンの害作用である。ここにマイナスイオンがあればこれが抗酸化剤として働き、プラスイオンの害を解消してしまうのである。

 

マイナスイオンの供給源

マイナスイオンの供給源としては、タンパク質、ビタミン類の大量摂取、アミノ酸酵素、ミネラル、抗酸化食品、アルカリ性食品、クエン酸・酢、ポリフェノール含有食品、電解還元水など、体液をアルカリ性にして活性酸素分解酵素の生成を活性化する食品の摂取が有効とされているが、近年特に空気中のマイナスイオン浴や吸入の効果が評価されている。

 

土壁からマイナスイオン生成

土塗壁からマイナスイオンが生成するのはレナード効果(滝効果)によるものと考えられる。水の粒子の表面はマイナスイオンに帯電しているので、その表面に空気中のプラスイオンが吸着される。この水の粒子(クラスター)がさらに細かく破砕されれば水の表面積は著しく大きくなり、空気中のプラスイオンが大量に吸着され、この結果、空気中にはマイナスイオンが多くなる。吸湿している土壁の表面に乾いた空気が当たれば放湿が起こり、極く微細な水のクラスターができるので、その室内の空気はマイナスイオン環境になる。これは滝や噴水の周辺がマイナスイオン環境になるのと同じ原理である。

 

土壁には森林浴効果がある

わが国の伝統的木造建築の室内がマイナスイオン環境になっていることは古くから報告されていた。これがレナード効果によるものではないかという考え方は未だ筆者の憶測の域を出ないものではあるが、これと似たようなものに森林浴効果がある。森林浴が健康に良く、アレルギーの治療効果があることは認められている。これに対してはフィトンチッドなどの効果が取り沙汰されてきたが、筆者はこれも樹木の吸放湿性能とマイナスイオン生成量は比例関係にあるから、樹木は多い程よいし、土壁は厚い程よいということになる。
このように土壁の部屋には森林浴効果があり、シックハウス症候群の予防・治療効果があったのである。

 

マイナスイオン発生鉱物

現在マイナスイオン発生をうたって販売されている壁材料のなかに、組成中の特殊鉱物の効果としているものがある。このことはトルマリン(電気石)のように空気をイオン化する鉱物の存在が認められているので、一概に否定することはできないかもしれない。今後はレナード効果のレベルを超えたマイナスイオン生成機能を発揮するようなこの方面の開発も期待されるところである。